海外で地に足つけて生きていく

意識低めの社会人ゲーマーが発信する海外移住のヒント

利点とリスク

 

海外移住を考える方は、すでに自分の将来のビジョンや目的をある程度明確に持っていることでしょう。
また、強い意思をもってその土地で骨を埋める覚悟もできている方もいると思います。


その際考慮されるのは、利点とリスク。この2つを何度も天秤にかけたのではないでしょうか。


その土地で生きることに関して、日本での生活に比べてメリットが多かったり、背負える程度のリスクであると認識しているからこそ、今こうして情報収集しているのだと思います。


夢を抱きすぎるのも危険ですが、慎重になりすぎて挑戦しないのももったいない。
しかし他の国で自立・自活していくのは大変じゃないわけがない。葛藤があると思います。


どのようなことに注意しなければならないか、私の経験では大きく3点ずつに分けると以下のようになります。


利点:
・いわゆる先進国なら、日々の生活の安心感が日本と大きく変わらない
・労働法が遵守され精神を病む確率が低くなる、転職はキャリアアップの手段として普通に行われる
・言葉や日本特有のメンタリティへの理解を強みにできる


リスク:
・外国人としてその国のマイノリティになる:選挙権は学生ビザではもらえない、一部クレカが作れない
・特殊な研究職を除いて、ビジネスで使えるくらいの英語力+同等レベルの現地語は就職にほぼ必須
・家族の緊急時すぐには駆けつけられない、一時帰国のコスト


他にも日本食が高かったり電車の遅れが気になったり、小さなことはたくさんありますが、そういったことは正直慣れますし諦められます。

 

上記の点を詳しく説明していきたいと思います。

 


治安と日常生活の安心感


大学の食堂で置き引きにあった人は何人も見かけましたが、自己防衛ができる方なら普段の生活で恐怖を感じることはありません。
Apple製品を置いたまま目を離すことが危ないのは有名ですね。
しかしいくら自己防衛をしても、どうしようもないこともあります。ヨーロッパでは近年テロが多発し、大都市が狙われることも何度かありました。
もともとインドア派でクリスマスマーケットやパーティに興味がなかったのでそこまで不安に感じませんでしたが、大使館からくる連絡やニュースで情報収集し、なるべく人混みは避けるように対策はしていました。
日本とは違う、という意識を常に持ちTPOにあった身なりをしておくことが大切です。


労働環境


ドイツの労働法は労働者にとって安心できるものと言えます。
法を破った際には会社ではなく、不当な命令を出した上司など本人のポケットマネーから罰金を支払うこともあります。
有給消化率も9割以上と非常に高く、病欠はまた別でもらえます。私が知る限り、管理職クラスを除いて有給休暇を100%消化していない人は見たことがありません。
転職について。
転職は日本とは違い、キャリアアップの1つであると認識されています。
XingやLinkedInといったSNSを活用したヘッドハンディングも活発に行われているようで、月に1度の頻度で私のところにもメッセージが届きます。
退職の際には、労働契約書に明記された退職までの期間に沿って、有給休暇もしっかり消化した後、退職することになります。


就職関係での強み


普通の日本人が初めて海外で職を探すとなると、やはり日系企業が狙い目になります。
日系企業が海外法人を作り始める際、駐在員にとっても同じ日本人で日本のメンタリティを理解できる人がいるだけで、安心できるからです。
海外特有の宗教やビジネスマナーと、日本特有のそれとでは差があるのはもちろんのこと、それらを日本ですべて理解した上ですぐに現地人と一緒に仕事をするのは難しいでしょう。
また、英語や現地語の細かいニュアンスを顧客に伝えたり文書を訳す際にも、日本語で気軽に質問できたら会社側も助かる、というわけです。
現地と日本の2つの文化をある程度理解している日本人というのは貴重で、スタートアップ企業には重宝されます。


次にリスクです。


マイノリティになる


外国人だから多少分からなくても甘えていられる、というのはあまり通じません。スーパーや公共交通機関等で優しくされることはあっても、大学でのレポートや仕事はそうはいきません。人一倍の努力が必要になります。
個人的に選挙権がもらえないのはそんなに気になりませんが、作りたいクレジットカードが作れなかったのは少し残念な気持ちになりました。
たまにこういった点で外国人であることをしみじみと感じます。ちなみにクレジットカードは他の会社で作れたので不便ではありません。


最大の不安要素、語学力


日英+現地語のマルチリンガルになれるかどうかのリスク、これができなければそもそもの自活は難しいでしょう。
しかし、言語は所詮慣れです。詳しい勉強法はこちらをご参考ください。
移住前に英語だけでもTOEIC700点位を目指してレベルアップしておくのが良いと思います。理由は、TOEIC650点を学士入学の最低条件にしている大学が多いからです。
講義が現地語でも文献や資料は英語しかない、というのは普通によくあります。
英語と現地語、2言語同時進行は頭が混乱すると思うので、英語だけでも日本で鍛えておくのが良いです。
反対に、現地語は語学学校で絞られるので勉強すれば早い人で1年ちょっとで試験に合格できます。クラスに同志がたくさんいるので、やる気も自然にわきますし、実践練習は日々の生活そのものなので比較的短期間でマスターできると思います。


私が通った大学付属の語学学校はクラスが1〜5に分かれており、それぞれ2〜3ヶ月ずつかけてステップアップしていきました。4クラス目で試験範囲を網羅し終わるので、この時点で受けてみるのも良いかもしれません。また、1〜2クラスを飛び級できるよう、日本で勉強を始めておくのも時間とコストを節約できるのでおすすめです。5クラス目はアカデミックライティングを鍛える期間で、確実に試験に合格したい人(もちろん大半)は受けていました。


最後に、

 

家族と離れること


自分のこと以外で覚悟を決めなければならない、薄々気づいてはいたけれどやっぱり向き合わなければならないことです。
家族の緊急時、すぐには会いに行けないこと。会いに行けてもコストが比較にならないほどかかります。
こういったときのための保険もあるので、一度見てみるとよいかもしれません。

 


以上が私が経験した上で感じた利点とリスクです。
海外移住をやたら勧めるのではなく、リスクを熟考した上でみなさんの背中を押したいと思います。
挑戦しない限り結果はわからないし、とてつもない高い壁も上がってみると意外と大したことなかったりします。その時は必死ですが。


この記事がみなさんの不安を少しでも解消し、リスクと冷静に向き合うきっかけになれば幸いです。